アートと成長
〜アーティストの目線から〜
絵画教室や国際芸術祭の企画、アーティスト・イン・レジデンス(アーティストの国境を越えた滞在型創作活動)などを通じて、福岡・糸島から世界へアートを発信している松崎宏史さん。 「未来ある子どもたちにアートを教えるのが好き」という松崎さんに、アートが子どもたちに与える影響についてお話しいただきました。
アートは、これから生き抜く力になる。
今、子どもたちをとりまく社会全体の考え方が変わりつつあると思います。
昔は、「正解」というものがあって、それを見つけて、正解の通りにやっていく時代だった。
だけど、今からは正解が何か分からない。自分で探っていかないといけない時代になってきた。
そんなこれからの時代に、アートは力になると感じています。
アートって何をしてもいいんだけど、その中で自分で答えを見つけていく作業。
こう描くのが正解、というものがないので、 自分でそれがいいのか悪いのか、考えて考えて探っていかなくてはいけない。
たくさん考えて、試行錯誤して、作りあげる。
この体験が、これからの社会を生きていく上で、役に立っていくのではないかと思います。
いつもの暮らしが、感性を育む
いつも見ているものや身につけているものが、知らない間にインプットされ、色彩感覚を育んでいきます。
また、手を動かす、というのも子どもたちにしてほしいこと。
昆虫の触角は様々なものを感じる優れたセンサーになっているんですが、人間の場合は「手」だと言われています。
いろいろな物を見たり、手を動かして何かを作ったり、感触を楽しんだり。
そうやって、感性豊かな大人になっていって欲しいと思います。
スタジオを一歩出ると、色彩豊かな風景が広がる。
レジデンスプログラムでやってきたデンマーク在住のアーティスト。
花札や神社など、日本ならではのモチーフが版画に。
アイディアあふれる、
困難にもめげない人生を
フランスの詩人の言葉で、
「アイデアいっぱいの人は決して深刻にならない」
という言葉があります。
自分で意思を持って決めなくてはいけない時代に、アイディアは強い味方になってくれます。
たくさんのアイディアがあれば、困難も乗り越えられる。
めげることなく、自分の人生を切り開いていってほしい。
そう思いながら、子供たちと関わっています。
自作の機械を使って描く自画像。新しい挑戦を全力で楽しまれている姿が印象的でした。
ご実家の米倉を改装したギャラリーとスタジオ。
1979年福岡県糸島市生まれ。広島市立大学芸術学部油絵科 卒業後、ドイツハノーバー専科大学で学ぶ。 ヨーロッパを中心に世界各地で展示を行う。 現在、「糸島から世界へ文化発信」を合言葉に、アーティスト・イン・レジデンス、美術教育、美術作品制作事業を手がける。
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Studio KURA
WEB:https://www.studiokura.com/
電話:092-325-1773